フランスパンの焼き方

一次発酵とガス抜き

 

 

パン生地の発酵というものは、生地の捏ね上げが終了した時点からすでに始まっています。発酵の働きには、ガスを生成することと風味を作ることがあります。つまり、この一次発酵において、パンのボリュームや風味というものが大体決まってしまうことになるのです。

 

 

パンの風味というものは、発酵で生成される有機酸の量に影響を受けます。通常、低い温度で長時間発酵させた方が有機酸の量は多くなります。一方、パンのボリュームは発酵によって生成された二酸化炭素の量に影響を受けます。小麦粉で作った生地の場合は、酵母による二酸化炭素の生成は27℃以上で活発になります。つまり、両者は相反する性格を持っているのです。

 

 

そこで、パンの風味を作り出す有機酸の生成と、パンのボリュームを生み出す二酸化炭素の生成を両立させるために最適な温度を探っていくと、それは25℃前後が良いという結果になるのです。

 

 

そのため、捏ね上げ時の生地の温度を25℃前後にすることが重要になってきます。フランスパンの場合、一次発酵の時間は3時間くらいに設定するのが一般的です。そして、途中で1時間ごとにガス抜きを2回行って、生地の強さを高める必要があります。

 

 

このガス抜きを行なわないと、生地内の二酸化炭素が発酵を妨げてしまうことになります。ガス抜きの方法は最低限の打ち粉を振り、生地をコブシでパンチする方法と、生地を折りたたんでガスを抜く方法があります。いずれの場合でも、完全にガスを抜く必要は無く、半分ほど抜ければ大丈夫です。