フランスパンの焼き方

クープと焼成

 

 

フランスパンには独特の切れ込みが入っていますが、この切れ込みのことをクープといいます。この切れ込みがいかにもフランスパンらしい模様を作っていますが、クープの本来の目的は模様を入れることではなく、生地の膨張を促すためです。

 

 

すなわち、クープは生地に弱い部分を意図的に作り、焼成時の釜伸びを促す効果を持っているのです。このクープを入れずに焼成すると、パンの生地は思うように釜伸びすることが出来ません。釜伸び出来ない生地は最終的には弱い所から爆発するように裂けてしまい、見た目の悪いパンが出来上がってしまいます。

 

 

二次発酵が終わったら、焼成の直前にクープを入れましょう。クープはクープナイフかカミソリで生地の表面を削ぐようにして入れます。フランスパンの場合は縦に3本ほど入れるのが一般的です。クープを入れたらいよいよ生地を釜に入れて焼くことになります。

 

 

釜に入れる前の生地の温度は25℃前後ですが、釜に入れた後は急激にその温度が上昇していきます。酵母は54℃まで発酵が進むため、釜に入れた直後は急速に発酵が進み、釜伸びと呼ばれる現象が起こります。60℃を越えた時点で酵母は死滅してしまいますが、その後も生地の中に閉じ込められた二酸化炭素ガスが膨張し続けるために、釜伸びは続いていきます。

 

 

フランスパンの場合は、温度は240℃で25分ぐらい焼くのが適当です。パンを焼く前に釜の内部を霧吹きでスチームし、湿度を高めておくことが重要です。こうすると、生地の表面に水分が供給されて硬化を遅らせるために釜伸びしやすくなるのです。